研究テーマ
- ●強相関電子系が示す磁性や超伝導などの基礎理論
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極低温において金属などの電気抵抗が完全になくなる現象を超伝導と呼ぶが、この現象は物理的に大変興味深いだけでなく、技術的な応用の可能性も大変大きい。約20年前に発見された高温超伝導体では、従来の超伝導体とは違い、超伝導になる転移温度が比較的高く注目を集めた。
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高温超伝導体では電子間に働くクーロン相互作用を起源とする実効的な引力によって生じたクーパーペアにより超伝導状態が発生すると考えられているが、このような電子間相互作用が強い系のことを一般に強相関電子系がと呼んでいる。従来型の超伝導体では格子振動を媒介にして電子間に引力が働き、それによりクーパーペアでき超伝導状態が生じるが、格子振動に依存する超伝導発現機構では原理的に高い超伝導転移温度を出すことは難しいと考えられている。それに対し電子間相互作用による超伝導発現機構ではより高い転移温度も不可能ではないと考えられているので、強相関電子系の超伝導発現機構を理論的に解明することにより、より高い転移温度を持つ物質の探索・発見への手がかりを見出すべく研究を行っている。
超伝導転移温度の近くで観測される電気抵抗の一般的な温度変化
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所属学会
●日本物理学会
論文
●Bound state of a hole and a triplet spin in the t1-t2-J1-J2 model, K.Sano, K.Takano, Phys. Rev. B (83),pp.54421(2011)
著書
●「物理学実験」 阿閉義一、佐野和博 杉野敏秀、長井努、松永守 三重大学出版会 pp.39-44 及び pp.71-74(2001)
応用分野
●超伝導、超流動などのメカニズムを探る「物性基礎理論」の研究
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