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2012年更新
カテゴリ
バイオテクノロジー、農林水産(含食品)
キーワード
受粉 受精 自家不和合性 花粉 アブラナ科 遺伝学 逆遺伝学 エピジェネティクス ゲノム

一言アピール

環境に影響されない種子生産に向けて、植物生殖メカニズムに関する研究を行っています。分子遺伝学・分子生物学を専門としています。


研究テーマ

  1. 花が咲いて種ができるまでを分子レベルで理解する
  2.  植物にとって花を咲かせ種を作ることは「次の世代(子孫)を産み出すこと」であるが、人間にとっては「食糧を生産すること」でもある。この行程は、様々な機能が複雑に絡み合って成し遂げられており、これを分子(遺伝子)レベルで解明し理解することを目指している。これにより、植物の中でどんな遺伝子がどうやって機能することで花を咲かせて種を作っているかを理解できる。この知見は、安定的な食料生産・種子生産の情報基盤として農業に貢献できる。
  3. 植物生殖メカニズムの解明
  4.  花を咲かせ種ができるまでの行程は、植物にとっては生殖過程に相当する。この植物生殖を達成するためには、雄性配偶子(花粉内の精細胞)と雌性配偶子(雌しべ内の卵細胞)の融合(受精)が必要で、その最初のステップは花粉が雌しべに到達する「受粉」である。受粉では、花粉を識別する花粉認識機構や雌しべから花粉への水分供給、花粉管発芽、花粉管誘導など、機能の異なる多様なシステムが関連しており、これらすべてが正常に機能しなければ次のステップである受精へと進むことはできない。この受粉の分子メカニズムを解明し、確実に受粉を成功させる技術基盤を構築することを目指している。
  5. アブラナ科自家不和合性機構の解明
  6.  植物は自分で交配相手を選べないため、種を作るための花粉を選別することは大切である。他の植物種の花粉を排除しなければ雑種ができてしまうし、たとえ同じ植物種の花粉であっても遺伝的に均一になってしまうと種(species)が絶滅にさらされる危険性がある。これを打開するシステムの1つが自家不和合性で、同じspeciesの遺伝的性質の異なる花粉を識別することができる。この機構の分子メカニズムを解明し、人工的な受粉制御技術の確立を目指している。
  7. 花粉形成機構のジェネティック・エピジェネティックシステムの解明
  8.  花粉は植物にとっての雄性生殖因子であり、子孫を残すためには必須である。花の葯の中で作られる花粉は、通常の細胞とは異なる特殊な細胞で、減数分裂や非対称分裂と呼ばれる特殊な細胞分裂をする。この行程は様々な遺伝子によって精密に制御されているが、高温や低温などの環境変動に弱い一面も有している。これら行程を正常に達成するためには、遺伝子によるジェネティックな制御に加えて、後天的(エピジェネティック)なシステムによってファインチューニングされることが大切である。これらメカニズムを解明することで、環境変動に影響されない花粉生成技術の確立を目指している。 

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受賞

●日本育種学会奨励賞 (2012)
●日本育種学会第117回講演会優秀発表賞 (2010)
●アブラナゲノム国際学会Poster Presentation Award (2004)

応用分野

●種苗業界                        ●食品業界

論文

●Microstructure of a Brassica rapa genome segment homoeologous to the resistance gene cluster on Arabidopsis chromosome 4. Breed. Sci. 62: 170-177 (2012)
●Comprehensive network analysis of anther-expressed genes in rice by the combination of 33 laser microdissection and 143 spatiotemporal microarrays. PLoS ONE 6: e26162 (2011)
●Evolution of self-compatibility in Arabidopsis by a mutation in the male specificity gene. Nature 464:1342-1346 (2010)
●Omics databases in plant science: key to systems biology. Plant Biotechnol. 25: 413-422 (2008)
●Separated Transcriptomes of Male Gametophyte and Tapetum in Rice: Validity of a Laser Microdissection (LM) Microarray. Plant Cell Physiol. 49:1407-1416 (2008)
●Simple Sequence Repeat-based comparative genomics between Brassica rapa and Arabidopsis thaliana: the genetic origin of clubroot resistance. Genetics 173:309-319 (2006)

主な保有機器・装置

●遺伝子解析関係                     ●植物培養設備
●遺伝子組換え植物温室