三重大学大学院 地域イノベーション学研究科
先端融合工学ユニット
【専門分野、研究テーマ】
応用微生物学
【研究テーマ】
植物繊維の微生物酵素分解
地球上で最も大量に生産されるバイオマスである。これを糖化する酵素をセルラーゼという。本研究では、セルラーゼがモジュラーな構造をもつ酵素であることを利用し、モジュールシャッフルにより作成した新規酵素を使ったセルロース糖化を検討している。( 平成19 年度版 研究成果情報集より引用)
Syuichi Karita's DATA FILE 年齢:48 歳 |
どんな学生時代をお過ごしでしたか 私は名古屋出身で、昔から当然野球は中日ドラゴンズ、サッカーは名古屋グランパスエイトを応援してきました。両親も子供も代々中日ファンでファンクラブにも入っています。 父親の影響で化学を志し、三重大学農学部へ入学したのですが、1 〜 2 年生の頃は遊びに熱中してほとんど学校に行かなかったんです。ただ、3 年生の頃に微生物学に出会い、4 年生になってからは、研究に没頭することに喜びを感じ始めました。その頃は、バイオテクノロジーの黎明期で、今のように設備が整っていたわけでもないので、自分で機械を手づくりして実験することもありました。 卒業後は、民間企業に就職されたのですね 大学院卒業後、民間企業で研究員になりますが、しばらくして開発部門へと異動になりました。開発はターゲットがはっきりしており、期限も決められていることが多いので、いわゆる“研究” とは異なる部分もありました。ただ、自分が開発を手がけたものが、商品になって世の中に出るというのは、とてもやり甲斐があり楽しかったですね。 大学に戻られたきっかけはなんですか ある日、三重大学の遺伝子実験施設で働かないかという話があったんです。正直、民間の仕事もやり甲斐があり、非常に迷いました。ただ、大好きな名古屋に近くなるということや、研究の道への未練もあったので、思い切って新しい道に踏み出すことにしました。今思うと、それが人生における大きなターニングポイントでしたね。その後、大学教員の道を歩むことになるとは、学生時代には思ってもみなかったことです。 研究で面白いと感じるのはどんなところですか 論文を読み、新しい技術や説を知ることなど非常に楽しいですね。昨年ははっきり分からなかった部分が、今年は解明されていたりするとわくわくします。また、実験がうまくいったときは本当に感動します。もう自分で実験をすることは、ほとんどありませんが、お風呂に入っている時など日常のふとした瞬間に「こうしたらいいんじゃないか?」とひらめいて、急いで学生に指示することもあります。 今の学生に伝えたいことはありますか 自分が学生だった頃と比べると、みんなきれいですよね。服装も髪型もおしゃれだし、TV やパソコンなど何でも持っています。何もない部屋で麻雀卓を囲んでいた自分の学生時代とは大きな違いがありますね。ただ残念なのは、学生から、たまに「これ、覚えたほうがいいですか」と質問されること。そりゃ覚えたほうがいいに決まっていますが、試験に出るから覚えるのではなく、今学んでいることは実生活と深く結びついているという意識を持ってほしいです。例えば、( 童謡で歌われる)「黒ヤギさんはなぜお手紙を食べたのか」という疑問を、消化管の構造や共生微生物を研究することで解くことができるし、なぜ、バナナには種がないのか、といった身近な問いにも学問的に答えることができます。このように、学問と現実というのは繋がったもので す。好きなことをやるにしても、社会に出たときに大きな武器となるよう、しっかり(自分の)モノにしてほしいですね。 |