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2012年更新
カテゴリ
環境・エネルギー、情報・通信、農林水産(含食品)
キーワード
堆肥 産業廃棄物や食品循環資源の有効利用 作物の環境応答反応 環境教育 農業教育 適正技術 環境保全型農業 Win-Winな農業技術の開発 農作物 水稲

一言アピール

農業は太陽エネルギーを固定し、食料とエネルギーを生産する唯一の産業です。環境教育や農業教育を基盤とした適正技術を[農業]に誘導し、市民や企業の環境保全行動を促進するための基礎研究をおこなってます。


研究テーマ

  1. ●環境調和型農業・環境保全型農業の基礎技術の開発
  2.  農業は地力を利用することから、農作物の生産過程では、必ず地力が減少する。近代化以前の農業では、堆肥や有機物などを施用し自然の循環機能の範囲内での農作物生産を行っていたが、軽量で成分の高い化成肥料の適時施用により、作物の生産量は著しく増大した。また、農業従事者の高齢化・兼業化によって、農作業強度の軽減化が必要となった。その結果、地力を増やす有機物の施用量が激減し、農地のもつ環境保全能力も同時に低下した。そこで、当方は、農業従事者でない別の産業の方が「農地に堆肥などの有機物を投入可能なシステム」を開発することで、地力の増進が可能であると考えている。このシステムを支える有機物は耕畜連携の堆厩肥ほか、食品循環資源を利用した堆肥を想定している。
  3. ●農業のWin-Winビジネスモデルの開発と実践
  4.  産業は常に自立的で利益を有することで、社会貢献が可能であると考える。農業に補助金が投入されることで、農業振興のほか、農業生産基盤の充実や地域環境の保全がなされた。しかしながら、農業は兼業も多く、自立した農業経営でなければ、農業生産の持続性が低下し、次世代の担い手の育成に支障が生じる。そこで、当方は、農業の自立・持続的経営力を増強するために、他の産業とWin-Winな関係となるビジネスモデルを構築することで、農業自体が利益のある産業になる方策を検討する。本テーマは農商工連携や6次産業化ではなく、農業そのものと他の産業との関連性について、多義的に再評価可能で、社会貢献の側面を強くいれたビジネスモデルの開発と実践を目指す。最終的に農業および関連産業が生産した食料によって消費者が「安心で安全な食生活」を持続的に得られる仕組みを作りたい。
  5. ●地域内の有用生物資源の循環利用に関する研究
  6.  本来の自然は、生態系内部で自己肥料化して栄養を作り、次世代の植物が生長する。農業における肥料は、これらを模倣したものであり、農業は「自然循環機能」を利用した産業であると言える。一方で、農業生産力の増強や作業の効率化のため、人為的な資材(化学合成肥料や農薬など)、単一作物による生態系の脆弱化などにより、農地の地力が収奪されている。そこで、当方は、都市部を含めた地域内の有用生物資源を農地に還元するさまざまな方法を検討し、農地の地力を高め、農業生産力の維持・向上を目指す。人間は、経済動物であることから、経済的側面を考慮した地域内の有機物循環と食料生産について検討する。
  7. ●産業廃棄物(食品循環資源,木質・草質系資源など)由来の堆肥が、水稲などの農作物の生育・収量に及ぼす影響
  8.  水田1枚は山3枚がセットで売買されたように、昔の水田は、山の落葉・枯れ枝および調理や暖房に用いた薪などの灰などを「山」の有機物を肥料として、水田の地力維持を行っていた。現在の水稲栽培では山からの有機物はほとんど投入されず、主な有機物はわらや籾がら、家畜糞由来の堆肥・厩肥である。水田に投入される堆肥は、農業の近代化とともに著しく減少しており、同時の水田の地力も低減した。そこで、当方は、山の腐葉土を真似した、河川敷の刈草、低木のチップ、流木や工事によって撤去された樹木などのチップと易分解性の食品循環資源とを原材料とした木質系堆肥や草質系堆肥などを製造し、その堆肥製造方法や堆肥の品質について検討している。同時に、これらの堆肥を水稲栽培へ適応し、水稲の生育・収量を検討している。
  9. ●水稲などの農作物の環境応答反応に関する研究
  10.  水田を支える土壌、水田の用水、大気にそれぞれが水稲の生育に影響を及ぼしている。自然のおかげで、健丈な水稲栽培が可能である。しかしながら、人間の経済活動は、環境にさまざまな物質(たとえば、大気中には二酸化硫黄や、二酸化窒素、オゾン)が排出される。さらに、農業の近代化・集約化により地力収奪も生じている。よって、土、水、大気に含まれる物質が水稲生産に及ぼす負の影響と正の影響について検討する。たとえば、大気中の二酸化硫黄・二酸化窒素・オゾンは水稲の光合成能に負に作用するが、土の堆肥や石灰質資材、ケイ酸資材は水稲の生育や収量に正に作用することを明らかにした。今後は、土、水、大気の各要因について、とくに持続的な水稲生産が可能となるよう、水稲へ正の作用を及ぼす資材について検索を続ける。
  11. ●農家が利用できる農作物生産工程の記録支援装置と消費者・地域住民が利用できる農業情報の公開装置の開発
  12.  農業は天候によって農作物の生長・収量・品質が左右されることから、農作業の記録は大切である。毎年ことで、いつしか経験上から適当に作業している場合も多く、また、記録は一筆ごとに必要であるが、ざーとしか記録してない場合が多い。そこで、作業しながら、適宜入力可能なシステムとして、iphoneなどのスマートホンを端末として、入力デバイスとデータサーバを構築する。このデータサーバは、消費者および地域住民が自由にアクセス可能な「透明性」を持ち、農作物の購買について動機付けを強めることが予想される。また、蓄積されたデータは、地区ごとに集約され、専門家とのリンクを構築することで、技術改善へのアドバイスを受けることができるようなシステムの構築をおこなう。
  13. ●Win-Win関係となりうる農業のあり方に関する研究と実践
  14.  生きるための食料は、生産者が自己消費するものと、販売するものとに「差」がないほうがよい。また、農業は自然の一部を利用することから、地域社会や地域の自然と共生関係があり、農業自体の持続性が保持されるほうがよいと思う。そこで、当方は、農業と消費者、地域社会、あるいは他産業がともにWin-Winな関係となることが望ましいと考える。食べることは生きることだから、哲学的な部分も考慮した農業のあり方を、農業従事者だけでなく、市民や他産業従事者を含めた方々とともに「あり方」を検討する必要がある。環境教育および農業教育といった「教育」の部分であることから、「あり方」の学習が可能な教育プログラムおよび周辺知識の教育パーケージの構築と実践を行う。

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応用分野

●農業分野                        ●産業廃棄物処理業分野
●環境教育分野                      ●環境政策立案分野

論文

●長屋祐一, たい肥製造と関連したWin-Winな農業ビジネス -関係者全員がメリットを得る循環型社会への移行-, 畜産コンサルタント, 2007年9月号(No513). pp39-44, 中央畜産会(2007)
●長屋祐一ら, 二酸化窒素の簡易測定法が持つ偶然誤差の範囲, 人間と環境, 32(1):2-8(2006)
●森田脩・長屋祐一, 第6章 水田農業における物質循環,循環型社会における「食」と「農」(第二版), 三重大学出版会, pp44-54(2003)
●長屋祐一ら, 水稲の光合成速度に及ぼす二酸化硫黄の影響の適切な測定方法, 日作紀, 72(4):443-449(2003)
●朴恵淑・長屋祐一, わたしたちの学校は「まちの大気環境測定局」, 三重県人権問題研究所, pp1-79(2000)

所属学会

●日本作物学会                      ●日本環境学会

講演実績

●地域資源で名張を元気にしよう 市民交流会(2011,基調講演)

審査委員など

●第2次鈴鹿市農業基本計画策定委員会委員(2010-2011)
●三重県教職員組合教育研究集会 環境教育部門 助言者(2007-継続)
●三重中京大学非常勤講師(2005-2010)

関連ホームページ