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2012年更新
カテゴリ
医学・薬学
キーワード
Bax mRNA Liposome 口腔悪性腫瘍 遺伝子治療

一言アピール

さまざまな口腔悪性腫瘍細胞に対して、従来の遺伝子治療より高い効果が得られるような遺伝子治療の研究をしています。


研究テーマ

  1. 口腔悪性腫瘍に対する遺伝子治療の研究
  2.  癌に対する遺伝子治療の研究はさまざまな分野で行われていますが、口腔領域についての研究報告例、特に口腔原発の悪性黒色腫、骨肉腫に関してはほとんどありません。また、口腔領域の癌は解剖学的に切除後の機能障害が大きく、再発例や切除不能例においては予後不良なため、遺伝子治療の臨床応用が待たれています。当講座ではこれまで独自に教室で樹立した口腔原発の悪性腫瘍(悪性黒色腫、骨肉腫)に対し、様々な実験的抗腫瘍療法を行い、in vitroでp53を代表とする細胞のapoptosisに関与する細胞内タンパクの同行について、またBcl-2 familyタンパクの発現に着目して研究してきました。これまでの研究は口腔癌に対する遺伝子治療の応用に有用であると考えています。また、腫瘍細胞への遺伝子導入を目的とする方法にはviral vectorとliposomeが主な遺伝子導入ベクターとして用いられています。liposomeはウイルスベクターに比べ免疫反応、バイオハザードの問題が少ないことから、安全でかつ反復投与も可能で、有用なベクターであると考えられています。そこで、さまざまな口腔悪性腫瘍細胞を対象としてcationic liposomeをキャリアーとする遺伝子治療の研究を行っています。
  3. 口腔悪性腫瘍に対するBax mRNA遺伝子治療の研究
  4.  これまで口腔由来の悪性腫瘍に対してcationic liposomeをキャリアーとするBax遺伝子治療の研究を行ってきました。骨肉腫(HOSM-1細胞)に対してはin vitroで抗腫瘍効果を示したのに加え、in vivoでの腫瘍増殖抑制効果も得られました。しかし、他の骨肉腫細胞や悪性黒色腫細胞の種類によっては著明な効果が得られませんでした。充分な効果が得られなかった要因の一つに導入効率が低いことが考えられます。しかし、通常用いるplasmid DNAに替えてmRNAを導入すると導入効率が向上することが報告されており、mRNAの安定性や導入効率の向上に関する研究も報告されています。この報告をもとに、EGFP (enhanced green fluorescent protein) 遺伝子(EGFP plasmid)からあらかじめEGFP mRNAを作成し、さまざまな口腔悪性腫瘍細胞に対してmRNAの導入効率を測定してきました。その結果、従来のplasmidを用いた遺伝子治療より効率よく導入され、すべての細胞株で1.5倍以上の導入効率が得られました。そこでBax plasmidを用いた従来の遺伝子治療では充分な効果が得られなかった骨肉腫や悪性黒色腫を含むさまざまな悪性腫瘍細胞においても、Bax mRNAを導入させることにより高い抗腫瘍効果が期待できます。

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応用分野

●医療分野

主な保有技術

●Liposomeを用いた腫瘍細胞への遺伝子導入(in vitro, in vivo)
●PlasmidからmRNAの生体外での作成

主な保有機器・装置

●全自動ウエスタンブロッチング装置            ●全自動染色装置

所属学会

●日本口腔外科学会                    ●Asian Association of Oral and Maxillofacial Surgeon
●日本口腔科学会                     ●日本口腔腫瘍学会
●日本口腔外傷学会                    ●日本口腔診断学会
●障害者歯科学会                     ●口腔ケア学会

著書・論文等

●Antitumor activity of cationic liposome-mediated Bax mRNA transfer in KB cells by systemic administration in mice. Int J Oral and Maxillofac Surg. 40: 1212-1213, 2011.
●Antitumor activity of cationic liposome-mediated Bax mRNA transfer in squamous cell carcinoma KB cells. Oral Oncol Suppl. 3: 201, 2009.
●Bax mRNA therapy using cationic liposomes for human malignant melanoma. J Gene Med, 10: 910–917. 2008.
●Bax gene therapy for human osteosarcoma using cationic liposomes in vivo. Oncol Rep, 17: 769-773, 2007.
●Antitumor activity of cationic liposome-mediated Bax gene transfer in osteosarcoma cells: induction of apoptosis and caspase-independent cell death. Int J Oncol, 27: 433-438, 2005.
●p53 gene therapy of human osteosarcoma using a transferring-modified cationic liposome. Mol Cancer Ther, 4: 625-631, 2003.

関連ホームページ