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2012年更新
カテゴリ
土木・建築、農林水産(含食品)
キーワード
木材の物理学 強度 破壊 乾燥 木材

一言アピール

主に木材のせん断強度およびせん断弾性係数のねじり試験による測定や破壊力学など基礎研究が主体ですが、木材製品の評価など応用面にも進出するつもりです。


研究テーマ

  1. ●木材素材(主として建築用)の強度など力学的研究について
  2.  木材は環境形成材料として広く建築に利用されているが、せん断に対して極めて抵抗力が弱く、構造設計においてせん断強度は重要な因子となっている。しかしながら、JISに規定されているいす型試験体により測定された現在の木材のせん断強度は、切り欠き部の応力集中と同時に作用する垂直応力のために過小評価されていると考えられている。そこで、より純粋なせん断強度が得られると考えられているねじり試験に着目し、試験体断面形状等、条件を種々変えてねじり試験を行い、データの蓄積を行っている。
  3.  材料の強度は、き裂などの欠点が存在する場合、破壊力学によって取り扱わなければならない。
  4. 破壊力学では、破壊靭性値が強度特性値として考えられている。破壊の様式は3つのモードに分けられており、実際の破壊は主としてモードⅠとモードⅡの混合モードで起こっている。このことから、モードⅠおよびモードⅡの破壊靭性値を連続的に測定することを目的としてそれぞれDCB試験体、3ENF試験体により、き裂長を変化させた場合の破壊靭性値試験を行いデータの蓄積を行っている。
  5. ●今後のテーマ 1.建築廃材の再利用、2.木材加工物強度の強化向上方法など
  6.  建築廃材の再利用および木材加工物の強度向上方法などに関する未発表の事例は今のところないので、過去の事例を紹介する。
  7. 1.現在、産業廃棄物としての木くずは、ほとんどパーティクルボード工業やファーバーボード工業の原材料として再生利用されているが、異物の混在が問題となっている。そこで、住宅解体廃材を木材チップなどの細片に加工し、アスファルト乳剤や硬化剤を混合させることにより透水性を持った道路舗装材として利用が考えられる(徳田ら)。この場合、危険な金属片を除外すれば、多少のプラスチック等の異物の混在は問題にならないものと考えられる。
  8. 2.木材加工物の曲げ強度の向上については、木材はりの引張応力を金属棒で補強した木金複合部材が考えられる(徳田ら)。これは、溝を入れた木材部材に金属棒を入れ接着剤で固定したもので、曲げにより作用する引張応力を金属棒が効率的に負担することにより曲げ強度が向上するもので、今後、挿入する金属の形状等の検討が必要である。

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応用分野

●木材、木質材料の強度評価

主な保有機器・装置

●強度試験機(5t、1t)

所属学会

●日本木材学会                      ●日本材料学会
●日本木材加工技術協会                  ●セルロース学会

論文

●鈴木直之,白倉僚太:単一試験体によるモードⅠおよびモードⅡ破壊靭性値の連続測定,木材学会誌,56,No.4,pp.227-234 (2010)
●鈴木直之,舩岡正光:新規リグノセルロース系循環型材料の創製(第1報),木材工業,64,pp.461-466 (2009)
●鈴木直之,舩岡正光:新規リグノセルロース系循環型材料の創製(第2報),木材工業,65,pp.162-165 (2010)
●徳田迪夫,内迫貴幸,鈴木直之,黄瀬稔,高田裕市:スギノアカネトラカミキリによって損傷を受けたスギおよびヒノキ材の市場価格向上の方策(第1報):木材工業,64,pp.318-323 (2009)
●徳田迪夫,内迫貴幸,鈴木直之,黄瀬稔,高田裕市:スギノアカネトラカミキリによって損傷を受けたスギおよびヒノキ材の市場価格向上の方策(第2報):木材工業,64,pp.618-623 (2009)
●徳田迪夫,内迫貴幸,鈴木直之:熱ロールプレスで表面圧密化したスギの床板としての利用:木材工業,58,pp.112-118(2003)

著書

●木材科学講座3 物理:海青社(分担執筆)(1992)
●木材科学講座2 組織と材質:海青社(分担執筆)(1994)

関連ホームページ