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2012年更新
カテゴリ
環境・エネルギー、土木・建築、農林水産(含食品)
キーワード
土壌圏 土壌物理学 水文学 水分移動 熱移動 シミュレーション 蒸発散

一言アピール

土壌中の水分・熱移動のシミュレーションを用いた予測を目指しています。特に、地表面における蒸発散・熱収支を中心に水・熱循環の解明を試みています。


研究テーマ

  1. ●気象条件・植物根の吸水を考慮した土壌中の水・熱循環モデルの確立と適用(シミュレーションと野外測定)
  2.  地球規模で食糧・環境問題に注目が集まる中、日本の農業の持続的発展のためには、今後の気候変動も踏まえて土壌中の水・熱循環を把握することが重要です。地表面は土壌圏の水・熱の出入口となっています。降雨や灌漑で根群域に与えられた水は、地下水に達する降下浸透、地表面からの水分蒸発、植物根の吸水とそれに伴う蒸散によって消費されます。また、大気中から太陽放射や長波放射で地表面に与えられた熱エネルギーは、地表面における反射、地中への熱伝導、蒸発散による潜熱消費、大気との顕熱交換によって移動します。このように、土壌中の水分と熱は互いに影響し合いながら移動し、さらに植物体によっても影響を受けます。気象条件と植物根の吸水がリンクした地表面近傍の水・熱循環を把握するために、土壌水分量と地温のモニタリング、及び水・熱収支モデルの確立を行なっています。その上で、数値モデルと気候変動シナリオを用いた、シミュレーションによる中・長期的な予測を目的としています。
  3. ●熱パルスセンサーを用いた水分移動・熱特性の測定、及び土中水分蒸発の推定
  4.  土壌中の肥料成分や汚染物質は、主に土壌水によって運ばれます。これらの物質の土壌中の広がりや、地下水に到達することによって起こる地下水汚染を予測するためには、土壌中の水分移動速度(水分フラックス)を把握する必要があります。熱パルスセンサーは、この水分フラックスと熱特性を同時に推定することができるセンサーです。センサー中心の熱源から放出される熱パルスは、水の流れに応じて土壌中を広がります。これを周りに位置する温度計で観測し解析することで、水分フラックスを逆算することができます。開発に取り組んでいる5線式の熱パルスセンサーは、4本の温度計を用いることで2方向の水分フラックスを推定することができ、斜面における土壌中の水分移動に適用することができます。現在は実験により、飽和土壌・不飽和土壌中の水分フラックスの推定精度の把握を目的としています。また、熱パルスセンサーから得られる熱伝導率、熱容量、地温のデータを用い、土壌中の熱収支に基づいて土中の水分蒸発量を推定する熱収支法への応用にも取り組んでいます。

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論文

●Sakai, M., S.B. Jones, and M. Tuller, Numerical evaluation of subsurface soil water evaporation derived from sensible heat balance, Water Resour. Res., 47, W02547, doi:10.1029/2010WR009866 (2011)
●Sakai, M., N. Toride, and J. Šimůnek, Water and vapor movement with condensation and evaporation in a sandy column, Soil Sci. Soc. Am. J., 73, 707-717 (2009)
●坂井勝, 取出伸夫, 蒸発法における不飽和水分移動特性推定の最適条件の検討, 土壌の物理性, 106, 33-46 (2007)
●坂井勝, 取出伸夫, 砂質土と団粒土に対する水分移動特性関数の検討, 土壌の物理性, 107, 63-77 (2007)

応用分野

●農地環境整備                      ●土壌汚染対策

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