事例4 臨床研究
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○臨床研究は、利益相反も含めて特別な注意が必要だと考えますが、どのような点がポイントになるのでしょうか?
キーワード: 臨床研究、倫理観、ヘルシンキ宣言、インフォームド・コンセント
解説
臨床研究は、ヒトを対象とする研究であり、医学の進歩には不可欠な研究活動です。高度な専門性や設備面からも、大学に期待されている役割は大きいといえます。被験者の安全や、人命に関わる事項を取り扱うために、重い責任と高い倫理感が求められ、極めて慎重に行われなければならない研究活動です。臨床研究の依頼企業と、個人的な利益関係がある場合等には、研究結果の客観性を疑われる可能性があります。自らが主治医となっている患者が、同時に被験者である場合に、患者の利益を考えられるのか(臨床研究者の二重の役割)、また、患者の参加により、医師側に生じる経済的インセンティブ(研究費、寄付金等)がある場合(経済的利益の相反)について、マネジメントが必要不可欠です。
ヘルシンキ宣言に謳われているように、患者の利益が最優先であることを再確認し、患者と医師との間の利益相反を開示するとともに、患者に対しても十分なインフォームド・コンセントが要請されるのです。
気をつけよう
・臨床研究内容に関連する企業との経済的関係はありませんか?
・経済的関係がある場合には、その理由について明確な説明ができますか?
・臨床研究に必要な手続きは十分ですか? 例えば、大学院医学系研究科・医学部研究倫理審査委員会、医学部附属病院臨床研究倫理審査委員会へ届け出ていますか?
関連用語の説明
<臨床研究>
臨床研究とは、ヒト(患者、健常者を含む)に対する治療を兼ねた試験/研究をいいます。
<インフォームド・コンセント>
インフォームド・コンセントとは、医師が患者に対して、受ける治療内容や意義、効果、危険性、治療後の予想や治療にかかる費用、報酬などについて、十分にかつ分かりやすく説明をした上で治療の同意を得ることをいいます。利益相反では、臨床研究の資金源や研究成果と関係のある企業と医師の経済的関係などの説明・同意が問題となります。
<ヘルシンキ宣言>
ヘルシンキ宣言とは、1964年、世界医師会総会で採択された「人間対象とする医学研究の倫理的原則」をいいます。
ヘルシンキ宣言(日本医師会)
<医学部附属病院医学系研究倫理審査委員会規程> |

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